レポート

データセンターのエネルギー効率: 英国の経営陣の優先順位に関する調査

Energy-efficiency in the data centre: A survey of UK decision-maker priorities

 

ASUSは、世界有数のテクノロジー企業の責任として持続可能性を率先して提唱しています。当社は2021年に、当社の二酸化炭素削減の目標に向けたマイルストーンともなったRE100 グローバル再生可能エネルギーイニシアチブに参加しました。また、同じ年には台湾気候パートナーシップに設立メンバーとして参加しました。当社は、国際的な気候変動のイニシアティブや組織と協力し、当社のサプライチェーンの影響力を利用することで、低炭素製造の推進と炭素排出量の削減に取り組んでいます。当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を支持しています。

 

ASUSは昨年、研究開発への取り組みを強化することを公式に約束しました。製品エネルギー効率を最も厳しい環境基準であるEnergy Star 基準よりも平均30%高いレベルにまで高めるためです。つまり、当社の目標は、最もエネルギー効率の高い製品を作り、広めることです。当社は、製品レベルでの取り組みが、顧客の持続可能性目標の達成に貢献できることを認識しています。というのも、ASUSは顧客のサプライチェーンの上流に位置しているからです。

 

当社サーバーの顧客が公式な持続可能性目標を掲げているかどうかにかかわらず、ASUSやその他のメーカーが製造するコンピュータ製品は非常に重要です。データセンターは一般的に世界の電力消費量の約1%を占めていると言われていますが、この割合は今後さらに増加すると予測されています。ASUSをはじめ、データセンターで自社製品が使用されているデジタル機器メーカーは、製品のエネルギー効率を継続的に高めることで、このエネルギー需要の削減に貢献することができます。

 

すべての主要メーカーが製品エネルギー効率の向上を目標としているため、顧客は最終的にはエネルギー効率がより高いデータセンターを利用することになります。時間が経過し、通常の機器交換サイクルがくることによる必然的な結果です。

 

しかし、2021年のCOP26気候サミットで合意され、直近のCOP27で再確認されたグラスゴー気候合意 は、気候変動対策の実施を加速させ、迅速な変化の必要性を強調しました。

 

エネルギー効率の調査

積極的な意思決定に伴う多くの変化が急速に進んでいることを踏まえ、当社は、初の試みとして、先進経済国である英国を対象に、サーバーの購入や運用においてエネルギー効率を優先しているかどうかを調査することにしました。

 

今回の調査結果は、気候変動に対して責任あるリーダーであるためには、時に不都合な真実を語らなければならないことを示しています。先進国で経済力があり、G7の一員である英国においてさえ、持続可能性やエネルギー効率に関して正式な目標を持つ企業が、過半数には達するものの、全体に浸透しているには程遠い現状を本報告書は明らかにしています。

 

さらに、IT部門レベルや中小企業においても、持続可能性とエネルギー効率の正式な目標を持っているのは半数をわずかに上回る程度でした。データセンターが世界の生産電力の約1%を消費しているにもかかわらず、こうした結果であることは留意すべきでしょう。こうした背景に対して、わずかであってもエネルギー効率を向上させれば、世界的なエネルギー消費の改善につながるのです。

 

現在、サーバー関連のエネルギーコストについて関心を示しているのは、サーバーの運用を担当する企業のIT専門家のわずか半数にすぎません。ただし、エネルギー効率に対してはっきりと二分化される意識は、変化を余儀なくされるでしょう。この調査結果を通じて、年齢の若い回答者ほどエネルギー効率を重視するという強い相関関係が示されています。「若さ」という要素は、回答者の年功といった他の要因よりも優位に立つようでした。

 

業種ごとでも明確な違いが見られました。想像に難くないと思われますが、資金力のあるITや通信業界、金融業界では、サーバーの総所有コストに対する意識が高く、サーバーの調達やその後の運用においてエネルギー効率や関連コストに重きを置く傾向にあります。一方、一般的に資金的に余裕のない教育や芸術・文化分野の企業では、サーバーのエネルギー効率やエネルギーコストはあまり着眼されません。

 

ひときわ目を引く相関性は、サーバーの台数が多い企業ほど相対的に無関心であるということです。サーバーの台数が多ければ多いほど、他の購入・運用要因と比べて、エネルギー効率に関する重要度が低いことが調査データから判明しました。また、大規模な企業ほど、データセンターのエネルギー効率の測定すら行わない傾向にあることも分かりました。

 

この調査は、以下のような時期に実施されました。

 

  • 企業にとってエネルギーコストが高騰している最中(しかも、ほとんどの回答者が今後2年以内に過去の水準まで下がるとは思っていません)
  • 2022年に気候の変動と転換点に関する複数の警告や研究が発表された後
  • 英国が議長国として開催したCOP26から12カ月以内
  • COP27に先立ち、多くの報道がされる中

 

IT担当者や調達担当者によると、このような「環境」にもかかわらず、本稿執筆時点では、多くの企業ではデータセンターの購入決定が及ぼす影響について、予想された以上に注意を払っていません。

 

調査報告書のダウンロード

Download the データセンターにおけるエネルギー効率に関する調査報告書 をダウンロードしてご覧ください。

 

  • 英国の企業がデータセンターにおけるエネルギー効率をどの程度優先しているか、あるいは優先していないか
  • 優先順位は、業種とICT設備の多い企業と少ない企業との間でどのように異なるか
  • 英国企業がサーバーを購入する際に最も優先する要素、あるいはその他の優先する要素とは何か

 

調査方法

ASUSは、調査専門会社であるCensuswide に依頼し、あらゆる主要な業種において英国を代表する企業を対象にオンラインで調査を実施しました。調査対象者は500人。

 

  • このうち400人はIT部門
  • 残る100人は購買担当者

 

回答者は全員、以下の条件を満たしています。

 

  • 所属する企業が最低2台のサーバーを運用している(上限なし)
  • 組織のサーバーの購入プロセスおよび組織のサーバーの管理・運営・経営において重要な役割を担っているか、もしくはそのどちらかで重要な役割を担っている

Energy efficiency in the data centre report cover